2026/10/21

会社を設立するときに知っておきたいこと③ 登記の後にやる「届出」

①では札幌市の軽減制度、②では設立の流れをお話ししました。今回は、登記が完了して法人番号がついたあと、実際にやることをまとめます。会社は、登記をして終わりではありません。届出、社会保険、銀行口座、そして税理士探しまで、一気に見ていきます。

まず、税務署などへの届出

最初にやるのは、関係各所への届出です。出すものを整理すると、次のようになります。

① 法人設立届出書

  • 税務署に出すもの

  • 都道府県に出すもの

  • 市町村に出すもの

② 源泉所得税の届出(2種類)

  • 給与支払事務所等の開設届出書

  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

③ 青色申告の承認申請書

私は、「設立届出書」「源泉の届出」「青色申告の承認申請」の3点セットと覚えています。この3つを出せば、税務署を含めた関係各所への手続きは、ひとまず完了します。

源泉所得税の届出が必要な理由

会社を立ち上げて、たとえば一人社長でも役員報酬を払うなら、それは給与を払うということです。給与を払うと、所得税を天引きして、国に納める義務(源泉徴収義務)が発生します。

そこで出すのが、「給与支払事務所等の開設届出書」です。「これから給与を払い、源泉徴収をします」という届出です。

納期の特例は、基本的にセットで出す

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も、基本的にはセットで出しておいたほうがいいと思います。

給与から天引きした所得税は、原則として、支払った月の翌月10日までに納める必要があります。毎月やるのは、なかなか大変です。そこで特例を使うと、納付が半年に1回になります。

  • 1月から6月に支払った分:7月10日まで

  • 7月から12月に支払った分:翌年1月20日まで

この特例は、給与を受け取る人が常時10人未満の会社なら使えます。小さな会社なら、出しておいて損はありません。

青色申告の承認申請は、期限に注意

青色申告の承認申請書も、必ず出したい届出です。これは期限があります。

目安は、設立の日から3か月以内です。正確には、「設立の日から3か月を経過する日」と「最初の事業年度の終了の日」の、いずれか早い日の前日までです。最初の事業年度が短い場合は、後者が期限になります。うっかり過ぎてしまうと、その期は青色申告ができなくなるおそれがあるので、気をつけてください。

届出をしないと、どうなるか

「届出を出さなかったら、バレないのでは」と思う方もいるかもしれません。結論から言うと、分かります。

法人の設立登記をすると、登記の情報が、法務局から関係機関に流れてきます。税務署は、どんな法人が設立されたかを把握していて、届出がない法人には、「設立届出書を出してください」と案内を送ります。

税務署の中では、設立の登記情報をもとに、法人の基本情報をデータベースに入力していきます。決算期、業種、代表者の名前、住所といった情報です。青色申告の承認があれば、その情報を登録し、給与の支払いがあれば、源泉所得税の税目を登録します。

届出は、出さなくていいものではありません。登記が終わったら、早めに出しましょう。

役員報酬を払うなら、年金事務所の手続きも

次は、年金事務所での手続きです。会社から役員報酬を受け取るようになると、国民健康保険と国民年金ではなく、健康保険と厚生年金に入ることになります。会社から支給される報酬の額に応じて、社会保険料がかかってくる、ということです。

この手続きは、年金事務所に届け出ます。私は自分でやりましたが、全然難しくありませんでした。むしろ、むちゃくちゃ簡単でした。

出した書類は、次のとおりです。

  • 健康保険・厚生年金保険の新規適用届

  • 被保険者資格取得届

  • 被扶養者届(扶養する家族がいる場合)

持っていったのは、登記簿謄本とマイナンバーです。年金事務所に行って、その場で書類を書きました。役員報酬がいくらか、いつから支給するかを書いて、それだけです。

社労士さんに代行を頼むと、費用がかかります。私の感覚では、10万円くらいのイメージです。時間があるなら、自分でやっても、そんなに難しくないと思います。

法人の銀行口座は、ネット銀行にした

会社を設立したら、法人の銀行口座も必要です。選択肢はいろいろありますが、私はネット銀行で口座を開きました。

これが、むちゃくちゃ楽でした。たとえば、どこかに振り込むときも、スマホだけで完結します。

ただし、法人の融資を考えているなら、地方銀行や信用金庫の口座もあったほうがいいと思います。逆に、日本政策金融公庫の融資だけを受けるのであれば、融資金の振込先は、どこかの銀行の口座でよいので、ネット銀行だけでも足りるかもしれません。資金調達の考え方に合わせて、選んでください。

最初に考えておきたいこと

そのほかに、設立の時点で考えておいたほうがいいことがあります。

  • 税理士を探す

  • 会計ソフトを決める

  • 役員報酬をいくらにするか

  • 決算期をいつにするか

  • 経理をどのようにやっていくか

最初は、何が正解なのか、分からないことだらけです。役員報酬をいくらにするのがいいのか。決算期はいつがいいのか。経理はどうやるのか。分からなくて当然です。

だから、税理士に相談しながら進めるのが、一番いいと思います。

税理士がいない会社は、結局コスパが悪いかもしれない

これは、私自身の実感です。税理士をつけていない会社は、結局、コスパが悪くなりやすいと思います。

たとえば、設立の手続き一つにしても、知っていれば受けられた特典が、受けられなくなることがあります。①でお話しした札幌市の軽減制度もそうです。経理でも、「これは経費でいいのだろうか」と、わざわざ悩む時間が出てきます。

そこを節約するのは、悪いことではありません。ただ、それをするくらいなら、顧問料を払って専門家に任せたほうが、結局は得なことが多いと思います。

最近は、「AIを使えばできる」という声も聞きます。AIは便利ですし、私もAIで使えるものは使いたいと思っています。ただ、AIに領収書や請求書を渡して「決算書を作って」と頼めば、なんとなくそれらしいものは作ってくれるでしょう。でも、それが正しいのかどうかは、なかなか判断がつきません。判断できなければ、AIを使いこなすことも難しい。

だから、信頼できる専門家が、法人を設立するときからそばにいると、すごく心強いと思います。

さっぽろマーチ会計

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